ろう者とコールセンター

21世紀になってかなり経ちましたが、いまだに顧客の問い合わせ窓口としてコールセンターは圧倒的なシェアを誇っています。飲み会の予約、クレジットカードを紛失した、ヤマトの人がついさっき不在票を入れた、ウチの近くの歯医者(予約制)、田舎のばーちゃんの家など、電話しか窓口がないところはまだまだあります。

 

ろう者が電話をしなければならないときは、大抵通訳か家族に頼むか、最近は代理電話サービスなどに依頼することが多いようですね。

しかし、そこで問題になってくるのが本人確認。通訳だったり代理で電話するときは必ず「ではご本人様にお代わりください」とくる。

 

先日あった話。

ろう者の代わりに僕が電話したのですが、例によって本人に代われと言われました。

 

「あ、いえ先ほども申し上げた通りお耳が聞こえないのでお電話するのが難しいと・・」

「まったく聞こえないのでしょうか?」

「(その質問の目的はなんだ)そうですね、おっしゃっていることを聞き取るのは難しいかと」

「お名前とご住所、ご登録のお電話番号をおっしゃって頂くだけで結構です」

「(おお、これが一般人の反応なのか。新鮮)そうですね、ただ一般的にお耳が聞こえない方は発話も難しいかたが多く。。」

「あ、お話もできないのですね。ただなんとか声を出すことはできませんか?」

「(ええーそこまで頑張る?)は、はい。では伺ってみますね」

 

ろう「えーマジで? まぁいいよ名前と住所と電話番号ね」

スマホを持って一方的に話しているが、この発音で伝わるのかな・・

喋り終えて僕にスマホを渡してくる

「もしもし? これでよろしいでしょうか?」

「はい、ご本人様確認がとれました!」

いやいやいやいや、そんなガバガバでいいの?

じゃあ何か、俺が鼻つまんで『本人です』みたいに話してもいけちゃうよね。

まぁマニュアル通りなんでしょうけれど。うーん。

 

とまあ目的は達成したのでよかったのかもしれませんが、僕は若干釈然としなかったんですよね。何人か周りのろう者に聞いてみました。

意外と意見がバラバラでしたし、声出すの嫌だ! っていう反応は思ったほどありませんでした。

 

僕はなんとはなしにろう者に声を出させるのは失礼なんじゃないかなと思っていたのですが、人によっては特に抵抗なかったり、違和感を覚えながらもまぁそれが聴者社会のしきたりならしゃーないわという気持ちで話してみたりといろいろなリアクションがあるようです。思い込みよくないですね。

 

AmazonAppleみたいにチャットでほとんどの目的を達成できればそれが一番いいんですよ。企業はせめてメールフォームつけてほしいですよね。だいたいコールセンターってアレな人もいっぱい電話してくるだろうし、感情のままに喋ってくる人もいると思います。メールやチャットならそれなりに感情が制御された状態で問い合わせをしてくるでしょうから、お互いにストレス減りそうな気もしますけど。