お笑いを字幕で観ると?

仕事上、10人〜20人のろう者を前にお話させていただくことがあります。講演スタイルで話すとき、言うまでもなくユーモアは重要です。少なくとも僕は初対面の人たちが多数という状況であれば意識的に笑いを取りに行きます。

僕は有名人でもなんでもないので、参加者からすれば「誰こいつ?」から始まるわけですから、ただ話すだけではなかなか話に集中してもらえません。

まずは簡単なアジェンダと自己紹介、ここで「あっコイツ(聴者にしては)手話うまいぞ?」と認識してもらう。「聴者」から「俺達の手話が使える仲間」という印象づけができれば、そこから笑いを取ることで「コイツの話は聞く価値がある」と思ってもらえます。

僕は基本的に真面目なテーマでお話させてもらうので、見ている人にすれば面白い話を聞かされるとは思っていない。だから笑いを取るのはそこまで難しいことではありません。聴衆は高齢者が多いですけど、まぁそれなりに笑いを取ることはできます。最初は全然でしたけどね。だんだん高齢ろう者の「ツボ」みたいなものがわかってくるのです。

最近はZOOMになってしまい、笑いを取るのが難しくなってしまいました。やり方もなくはないですが笑いを取りに行くリスクの割にリターンが少ないなと思う今日このごろ・・

 

さて、それに比べるとひとを笑わせることを生業にしている方は大変です。

観る人は全員「いまから面白い話が聞ける」という前提で観ているのですから。ハードルがむちゃくちゃ高い。一度結婚式で素人の漫才を見たことがありますが、聴衆の無反応がかなりキツかった。同じ結婚式でも司会のトークで笑いを取るのはそんなに難しいことじゃないんですけどね〜。

普段テレビにもたくさん芸人さんが出演しているようですし、M-1が職場で話題になったりすることを考えても、お笑いのコンテンツは強いのだなと思いますが、ろう者のお笑いって全然見ませんね。手話落語や狂言もお笑いの一部だと思いますが、いわゆる漫才師(古い?)というか、お笑い芸人。僕が見てないだけかもしれませんが、普段ろう者との話題に出ることもありません。

「ろう者 お笑い」で検索すると「デフW」がトップに来るのでYouTubeで見てみると・・うん・・そうか・・笑

彼らはろう者と聴者の文化の違いを笑いにするスタイルのようです。これって「面白い」よりも「勉強になる」という方向性というか、聴者というか手話学習者向けというか。ひょうきんな振る舞いで笑いを取りに行く感じなのでしょうか。まああまり言及するのはやめましょう。とはいえ他にめぼしい人たちもいないようですし、もっとろう者の笑いを研鑽して欲しいですね!(何様)

彼らに限らず、あるあるは確かに手話学習者にはウケるんですけどね〜。

 

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日本語がわかるろう者からすれば、M-1を字幕で見たほうが面白いと思うのですが、実際無音&字幕で観てみたり、ろう者に感想をもらったりすると漫才も字幕向きとそうでないコンビがいることがわかります。ほとんどのコンテンツに字幕がついているNetflixでは歴代のM-1グランプリ決勝を観ることができるので僕も奥さんと2019年の決勝を観てみました。

上沼恵美子料理研究家だと思い込んでいたレベルなので、僕は出てくる芸人さんすべて初見です。

 

2019年決勝をひと通り観た結果、奥さんは圧倒的にミルクボーイ、とのことでした。次点がオズワルド。ほかは落選。

ミルクボーイのように一定の型があると「どっちのセリフ?」とか考えずに済むのでネタに集中できるとのこと。オズワルドは声色にあまり依存せず一定のペースで淡々と進めていくスタイルなので字幕でも雰囲気が伝わりやすいとのことでした。字幕以外の動きなどにも目を配りやすいというか。

でも和牛はほぼ笑ってなかったなぁ。内容は字幕向きだと思うんだけど、動きが多いとやっぱり字幕と同時に見るのは辛いかもしれません。僕がかまいたちが面白かったのですが、奥さんはどっちが喋ってるのかわからなくなる、とのことでした。かなりハイテンポですものね。もちろんニューヨークみたいな歌ネタも厳しい。

 

当然ですがM-1は聴者による聴者のためのお笑いなので、ただ字幕化すればろう者も笑えるというものではありません。観るろう側には行間を読むような高い日本語力が求められる上、ハイテンポで繰り広げられる会話を瞬時に字幕で理解する瞬発力も必要です。動きや声色、そして「間」だって重要なファクタなのですから、字幕を読みつつ画面全体にも目を配らなければなりません。おまけに聴者文化への高い理解度も求められる・・と激烈にハードルが高い。というか、ネタによってはふつーに無理。

 

お笑いに関しては聴者のネタを字幕で観る、ということも大事ですが、ろう者の笑いがもっと出て来てほしいです。とはいえお金にならないから真剣に研鑽するのも難しいですし、畢竟、デフユーモアのような聴者への皮肉めいた内容などがメインストリームにならざるをえないのかもしれません。

デフジョーク、デフユーモアといったものだとやはり聴者の私には100%伝わらない、というか当事者感を持って受け止めることができない。しかし聴者にウケないとマイナーなままになってしまう・・うーん・・これは・・少数者の悲哀ということか。

 

26 ヶ月目 評価損益 131.7 %
  元金 評価額 損益  
夫つみたて 866658 1141388 274730  
妻つみたて 866658 1141388 274730  
ジュニア 1733316 2282777 549461  
合計 3466632 4565553 1098921  

最近忘れてましたがNISAはこんな感じです。
この株高はなんなんでしょうね・・