ろう者と失業保険

またお金の話です。

今日は人生のリスクヘッジになるよっ、ていうアレ、失業保険の話です。

 

モデルケースは年収420万、ボーナス3ヶ月の30歳男性、ろう者。でいってみましょう。

もう仕事いきたくねぇ! ってことで退職した彼は果たしていくら給付金がもらえるのでしょうか。

失業保険の給付金を算出するには、まずは賃金日額、つまり1日でもらえる賃金を割り出す必要があります。ここに賞与、いわゆるボーナスは入りませんので、月給ベースで計算します。

モデルケースの場合の月収を求めるとき、ボーナスは割り引いて考えると・・ボーナス3ヶ月分なので、年収420万を12ヶ月+3ヶ月の15ヶ月で割って、月収は28万ということになります。

次に過去6ヶ月の収入(賞与は含めない)の合計を180で割り、賃金の日額を割り出します。今回は月収28万なので、過去6ヶ月の収入は28万×6で168万円です。

168万を180で割ると、賃金日額はだいたい9300円です。

超ざっくり計算になりますが、賃金日額のおおむね半額を90日もらい続けられる、という制度が失業保険です。実際は通勤手当や住宅手当、そして残業代も加算されてくるのですが今回はざっくり計算で残業ナシということで。

日額のおおむね半額ということで失業保険で給付される分は4500円/日としましょう。もらえる期間が90日なので4500円×90日の40万ちょいが給付される・・と思いきや、例によって障害者は優遇されるんですね笑

もらえる期間が90日ではなく、300日なんです。なので賃金日額が9300円だと失業保険でもらえる手当は4500円×300日でなんと135万円の給付です! 圧倒的じゃないか・・

※ちなみに年収240万ボーナスなしの方でも100万の給付がもらえます。

 

モデルケースの場合、障害者年金や福祉手当を含めれば年間250万はもらえますね。いろいろ意見はあるでしょうが、月20万あればまずは生きていけるでしょう。

同じ条件で聴者だったら40万しかもらえませんからね。迅速な再就職が求められます。

 

1年間リフレッシュしてまた勤めて、2〜3年したら辞めて・・というスタイルは若いろう者にちょくちょく見ます。今は聴者も似たようなことをしている人が多いので、ろう者が有意に多いかどうかはわかりませんが。

このやり方ではもちろん昇給もないし、長い目で見ればコスパはよくないかもしれませんが、昇給はいいから休みが欲しいというタイプの人にはアリかもしれません。それに、もしブラック企業に入ってしまってもやり直せるさ、という気持ちにはなれますね。

本来、失業手当をもらうためには最低1年間は勤めないとダメみたいですが、障害者はそれも免除されます。出血大サービス。さすがに1年未満で辞めた人への給付は150日しかないようですが、え、充分だよね。

 

ろう者は一般企業に入社したあとも、周囲の無理解などで孤立することは多いかと思います。以前に比べてメールやチャットが発達し、必ずしも音声でのコミュニケーションが必須ではない環境に変わりつつはありますが、社内会議、朝礼などはまだまだ音声で行われていると思います。

最初は頑張ろうという気持ちになるでしょうが、ずっとひとりで頑張るのは限界がありますよね。聴者社会に入っていく以上、聴者の理解なしにチームワークは成り立ちません。少数派の悲哀。

そこで聴者たちにどう働きかけるのか、それともなんとかやり過ごすのか。。という話になってくるわけですが、どうしても上手くいかなかった場合退職という選択肢も取れると思います。

再就職のハードルも、昨今いろいろ言われていますが法定雇用率のおかげで多少は下がっているのかなという気がします。

 

だからこれやばいと思ったらガンガン辞めて良いんじゃないですかね(無責任)。

少なくとももしものときは国のセーフティネットを十分に活用してやるぜ、と思えれば気は楽になるかもしれません。